北口市について

谷地町郷土研究行書2
谷地町に於ける市の変遷 今田信一

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 第2章 

 第1節 二六市
  起源は明確ではないが伝説的には四つある。
  1,白鳥十郎長久公が、天正年間に、白鳥村から当(旧字)邑へ移るとき、吉田村にあった市を北口に移転した。
  
  この伝説を裏付ける資料は一切ない。
  
  下郷白鳥から出てきた十郎が、山野菜や薪炭を供給する下郷衆のために、北口を開放したといふ事は有り得べき事である。
  
  取るに足らぬ地元起原の伝説であるが、次のようなものがある。
  白鳥十郎が山形城主最上義光のために誘殺されたあと、十郎の奥方は、北口の市日毎に、袈裟を被って、裏門から買い物に出るを例とした。それで、内楯城の裏通りをカツキザワという。
  
  
結論
之を要するに、北口二六市は、白鳥十郎来谷当時、町民生活のため、また城下の繁栄策の一助として設けられ、下郷衆の物産を町民に供給させたが、江戸時代に 入って、最上川運輸の進につれ、下郷衆の生活必需品を供給することが多くなり、需給の関係?る旺盛なる市場として発展し、吉田の市権利の買収によって、益 々商権を広めたものであらう。

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